1.面会交流とは何か
面会交流とは、離婚後又は別居中に、親権者にならなかった親や子どもを監護養育していない親が子どもと面会等をすることをいいます。
2.面会交流の方法にはどのような方法があるか
直接子どもに会う面会(直接交流)はもちろん含まれます。それ以外にも、メール・電話・手紙といった面会以外の方法で意思疎通を図ることもできます(間接交流)。また、面会交流の中でプレゼントの受け渡し等を行う方法もあります。
3.面会交流の方法はどのように取り決めるか
(1)協議による場合
夫婦で話し合って決めることになります。
そもそも、面会交流をするのか、面会交流をする場合、その方法、頻度、場所等を話し合って決めることになります。
(2)調停による場合
① 調停委員が、申立人から申立てた動機や経緯、相手方から面会交流についてどのように考えているのか、その理由を聴き取ります。
② 面会交流を行うにあたって障害がないようであれば、ⅰ同居時の親子関係ⅱ別居又は離婚がされた経緯及び状況ⅲ子どもの監護状況(別居又は離婚から現在まで)ⅳ子どもの意思・意向(10歳前後の場合)を聴取していきます。
③ 面会交流を行うにあたって障害がある場合、その障害の具体的事情、その裏づけ資料を提出することになります。そして、面会交流を行う可能性を探ります。
④ 家庭裁判所調査官による子どもの意向調査を行う場合もあります。
⑤ 当事者双方が面会交流を行うことに同意した場合、面会交流の方法、回数等をすり合わせていきます。
⑥ 試行的面会交流
主に裁判所の児童室を利用して親子の交流場面を設定して交流の様子を観察したり、面会交流が順調に行われるように調整的な働きかけをします。
⑦ 調停条項の作成
今まで調査したことを踏まえて面会交流の頻度等を書面に記載していきます。
この場合、夫婦や子どもの状況に合わせてどの程度具体的に記載するのかは変わってきます。具体的には、夫婦間であまり意思疎通をとるのが難しい場合は、頻度だけでなく、子どもの夏休みの期間に宿泊をどの程度入れるか等も記載し、後に夫婦間で揉めることがないようにします。
(3)審判による場合
調停を事前に行っていた場合、上記(2)で調査した事情や資料に基づいて裁判官が判断します。
調停を行わずに審判を開始した場合、当事者が提出した証拠や必要によって子どもの意向調査や試行的面会交流を行ったうえ、裁判官が判断することになります。
4.争いとなった場合、どのような判断基準で面会交流の方法は決まるのか
(1)面会交流が認められない場合
1 面会交流時に子どもが奪取される危険性がある場合
2 非監護親が子どもを身体的・精神的又は性的に虐待していた場合
3 非監護親が監護親に対して暴力を振るっていた場合等
については、面会交流を行うことが子の福祉に適うとは考えにくいので、そもそも面会交流自体を認めることは難しい場合もあります。
(2)面会交流の具体的な方法を決める判断基準
1 同居していたときの親子関係
2 別居又は離婚された経緯及び状況
3 別居又は離婚時から現在までの子どもの監護状況
4 子どもの意向・意思等を基準に面会交流の具体的な方法を決めていきます。
面会交流を決めるには、子どもの福祉に適うようにするのが大事ですが、子どもが小さい状況では、監護者の協力がなくては面会交流を実施することが難しいため、別居又は離婚された経緯及び状況等も判断基準に含まれてきます。
5.面会交流の方法を決める際の注意点
非監護者は自分の子どもですから面会交流を希望する気持ちがとても強いと思います。これに対して、監護権者にとっては、面会交流を行いたくないと思う方もいると思います。
しかし、そもそも面会交流は、子どもが非監護者と離れても大切にされているという感情を抱き安心感を得ることで離婚の不安等を解消したり、今後の健全な育成に繋げることを期待して実施します。つまり、面会交流は夫婦のためのものというよりは、子どものための制度です。そのため、子どもの状況や意向を優先させる必要がありますので、夫婦が感情的にならずに子どもを見守ることも大切です。
6.面会交流が問題となる場合に弁護士に頼むメリット
(1)面会交流の条件面
面会交流は、夫婦にとって感情的になりやすい問題です。しかし、弁護士に依頼することで、依頼者の事情に合わせて面会交流を希望に沿った条件にできるよう冷静に判断することができます。
(2)面会交流時のサポート
さらに、面会交流の実施が認められても、今まで子どもと接するのが難しかった非監護権者の場合、急に子どもと触れ合うというのは自分の子どもであっても意外と難しいものです。そんな方の場合、面会交流に付きそう等、面会交流後のサポートも期待できます。